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ところが、今度は勢いをつけすぎた。下にある救助マットを飛び越えて、着地した場所はアオネが広げたコートの上だった。
「良くやったぞネコ助。どうやら無傷のようじゃないかッ」
「君の目は節穴か。全身が焦げて真っ黒だろうニャ」
「軽口が叩けるなら安心さ。さあ、まだ任務が残っているぞ」
再び地上に降りると、オレは生死を共にした天使に近づいた。
「君の世界を救ったニャ」
オレは彼女の絵を差しだした。
「ネ……ネコさん……ありがとう」
愛理ちゃんがたどたどしく口を開いて喋った。
「愛理が喋った……」母親が歓喜の声をあげる。
「ネコさん、だいすき」
それは紛うことなく天使の謝礼であった。
愛理ちゃんが手に持った絵を見せる。そこにはパステルカラーが彩るやさしい世界が描かれていた。
その絵の端に仲良しの証である、オレと彼女をデフォルメした(ΦωΦ)(ΦωΦ)が並んでいる。
オレは小さな世界を救った満足感に浸った。
「生き返ることの他に、世界を救うのがオレの趣味だニャ。また世界に危機が迫ったら、いつでも(ΦωΦ)(ΦωΦ)7が駆けつけるニャ」
オレは投げキスを肉球にのせて飛ばすと、彼女に背を向けてニヒルに歩み去る。
「はぁ、もう少しで死ぬところだったニャ」
「殺しの番号じゃなくて、殺された番号になるところだったね。コロッケ食うかい?」
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