あの夏の光と風

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「もう~ 先にひとこと言って下さい。」 「ゴチャゴチャ言うな。時間がなくなる。」 賢一の両の掌が理美の背中にオイルを 塗っていく。理美はその動きが正確に左右 対称であることを感じ取った。それは彼の 稽古中の厳しい表情を思い出させた。いい 加減な男にも見えるが、やはり賢一は 武道家なのだ。 「よし、行くぞ。」 賢一は理美の手を取って砂浜を歩いた。 海に入ると彼女に水をかける。ピンクの 花柄のビキニが濡れて理美の身体に ぴったりと吸いついた。
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