押し入れ☆パラダイス

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ある日。 かずは深夜に帰宅し、即ベッドに潜り込んだ。 かず宅の寝室は、窓際にベッドが置かれ、ベッドの足元に机、枕元には押し入れがある。 押し入れは、奥行きを無視して手前にカラーボックスが並べられ、本棚に転用されている。 カラーボックスの裏側はがらんどう、本棚であるから当然、戸は開けっ放しである。 今にも眠りに落ちる直前のかずの耳に、頭の方からかすかに何かが聞こえた。 んー? 何?  ……鳴き声? 空耳? いや、押し入れの奥のほうから途切れ途切れに聞こえるのは、確かに、か細い鳴き声。 「みゅー……みゅー……」 ……!? かずは布団をかぶったまま、頭を整理する。 どう考えてもこの声は……生まれたての赤ちゃん猫。いやまさか。 起き上がり、本を詰め込んだカラーボックスの隙間から、恐る恐るその裏側を覗き込むと、そこには。 「フーッッ!!」 月明かりを浴び、キラリと光る双眸!! ママ猫特有の、威嚇する唸り声!! 野良猫が出産していた。
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