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ある日。
かずは深夜に帰宅し、即ベッドに潜り込んだ。
かず宅の寝室は、窓際にベッドが置かれ、ベッドの足元に机、枕元には押し入れがある。
押し入れは、奥行きを無視して手前にカラーボックスが並べられ、本棚に転用されている。
カラーボックスの裏側はがらんどう、本棚であるから当然、戸は開けっ放しである。
今にも眠りに落ちる直前のかずの耳に、頭の方からかすかに何かが聞こえた。
んー? 何?
……鳴き声? 空耳?
いや、押し入れの奥のほうから途切れ途切れに聞こえるのは、確かに、か細い鳴き声。
「みゅー……みゅー……」
……!?
かずは布団をかぶったまま、頭を整理する。
どう考えてもこの声は……生まれたての赤ちゃん猫。いやまさか。
起き上がり、本を詰め込んだカラーボックスの隙間から、恐る恐るその裏側を覗き込むと、そこには。
「フーッッ!!」
月明かりを浴び、キラリと光る双眸!!
ママ猫特有の、威嚇する唸り声!!
野良猫が出産していた。
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