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目覚めた翌朝、かずは自らの一夜の努力の成果を確認すべく、さっそく押し入れを覗いた。
「フーッッ!!」
……まだおいでになった。
なぜ出て行かない!?
ちくしょー、人間ナメんなよ!?
かずは考え、少々脅しをかけることにした。
皮手袋をはめ、意を決して押し入れに手を突っ込み、素早くまさぐる。
「ウニャーッ!!」
ママ猫の威嚇が攻撃に変わらぬことを祈りながら、手に触れた小さな柔らかいカタマリを、一瞬取り出して、すぐに戻した。
チラッと見た子猫は、白かった。
さあ、『ここは危険』と、脅しはかけた。
私が今から仕事で留守にしている間に、頼むから出て行ってくれ!
かずは祈りつつ出勤した。
その夜、帰宅したかずは押し入れに直行する。
「フーッッ!!」
……まだおいでになった。
ガックリ肩を落とす、かず。
それでもいちるの望みをかけて、再度脅しを繰り返し、二日目の応接間での夜を過ごしたのである。
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