押し入れ☆パラダイス

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翌朝。 「フーッッ!!」 ……ここまで来れば明白である。 ママ猫に、退出あそばす気配は微塵もない。 かず宅の居住権はすでに、完全にママ猫に移行しようとしていた。 かずは覚悟を決めた。 フタ付きの丈夫な段ボール箱を探し出した。 長袖を重ね着し、皮手袋をはめ、タオルで目だけ残して顔をぐるぐる巻きにした。 少々ママ猫が暴れても大丈夫と思われる重装備である。 そしてかずは、野良猫親子の強制退去に踏み切った。 親子ともども、一気に箱に押し込み、箱ごと外に運び出す計画である。 まずは子猫からだ。 エイっと押し入れに手を突っ込む。 「ウニャーッッ!!」 ママ猫は、声こそ上げるが、攻撃して来ない。 手早く子猫を段ボールへ。 キジ、キジ、白。3匹いる。 ママ猫を決死の思いで引っ張り出す。 拍子抜けするほどに抵抗しない。 押し入れの暗闇から姿を現した彼女は、赤い首輪をした、白猫だった。 ああ、元々は飼い猫だったんだな、お前さんは。 家の中が安全だと、人間は安全だと、そう思ってるんだな。 意外にも素直に強制退去に応じた彼女と子猫3匹。 情が移りそうなのを抑えつつ、とりあえず段ボールごと納屋にお連れして、かずは晴れて安心して出勤した。
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