ねこめたる

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銀次たちを気怠そうにひとりずつ睨み付けてから、政宗は再び夜空に目を向けた。 「今頃、ドームでガンズやってんだよなあ……」 「は? ガンズ?」 ついさっき銀次に怒られたことをすっかり忘れたかのように、きょとんとした顔で蛍が聞き返した。 「ガンズだよガンズ。日本公演、何年ぶりだろうなあ」 「なんすかそれ?」 「アメリカのバンドだよ」 そう蛍にこっそり耳打ちしたのは(みやび)だった。小柄で大人しく、目立たない存在だが、そのせいか雅は、誰からも好かれていた。 「いいっすよねガンズ!」 テツが会話に割り込んできた。 「えーとほら、あれ。タイトルなんだったかなー、スシとか鳥とか出てくるヤツ。聴いてるだけでヨダレが出るっすよね!」 「くっそぅ、行きたかったなあ。せめて横浜あたりでやってくれりゃ行ったのにな」 「え、マジっすか政宗さん、横浜行くんすか!」 目をまるくする銀次の頭に、シゲルのパンチが立て続けに2発入った。 東京はおろか、横浜、いや、たとえ隣街であってもそう簡単に行くことはできない。そのことはここにいる皆が解っている。政宗にしても、ただ言ってみたかっただけなのだ。
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