ねこめたる

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彼らは皆、枷がつけられている。もしこの街から脱出を試みようものなら、ただちに追っ手がかかり、顔写真入りの指名手配書が全国隅々にばらまかれ、あっという間に御用になるだろう。 追っ手の情報網を侮ってはいけない。インターネットが普及した現代、国内はおろか世界中のどこにでも、たやすく個人情報は流出するのだ。 そのことを政宗は、3年前に身をもって知った。引っ越しに抗議して家を出た、そのわずか4日後、人気(ひとけ)のない公園でついまどろんでいたところを襲われた。顔見知りならともかく、まったく知らない相手だった。政宗は力の限り暴れ、逃れようとしたが、飲まず食わずで体力が続かなかった。不覚にも、自分よりかなり若造の手に落ちた。 当時のことを思い出して、政宗は小さく舌打ちした。俺たちが一体なにをしたというのだ。そりゃたまに喧嘩したりするが、これじゃまるで全国指名手配の犯人扱いだ。 「あっ、痒!」 不意に蛍が短く叫んだ。見ると、耳のうしろを掻きむしっている。銀次が怪訝そうに蛍を覗き込んだ。 「え、なに、そんな痒いの?」 「ううっ、痒い、つか痛痒い」 「……おまえそれ、ノミじゃね?」 どよめきとともに、蛍を中心に彼らの輪がさっと広がった。政宗だけが腰を降ろしたまま、どっしりと動かなかった。
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