カブリオールレッグ

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一人暮らしの家に到着した彼は早速ベッドの横にナイトテーブルを置いた。ベッドと同じ色調なのでしっくりと部屋にマッチしている。 「うん、いいね」 満足そうに呟くと服を部屋着に着替え手早く夕御飯の支度を済ませると軽く食事を取る。特に見る番組もなかった彼はTVを消し早めに風呂を済ませ寝ることにした。 ベッドに潜り込む彼は手に持つ携帯をナイトテーブルに置こうとする、少し体重がかかり天板を押してしまう。 すると、店で聞いたときと同じように猫の鳴き声がする。 「ははっ、ほんとうに猫みたいだな」 店ではびくりと反応してしまったが自室にいるからだろうかそれほど不気味には感じなかった。 部屋の電気を消し眠りに入る彼。 ――おや? 茶色の猫がいる。 夢の中に年老いた猫が丸くなり寝ていた。一瞬こちらを見るがウインクするように目を瞑るとまた丸くなり寝てしまった。 朝、目覚ましの音で起きた彼。薄ぼんやりとだが昨夜の夢を覚えていた。 ナイトテーブルを見つめながら、 「昨夜の猫は君なのかい?」と問いかけたが反応はなかった。 ――まあそうだよな、返事をする猫のほうが珍しいさ。 彼は支度を済ませると時間に急かされるように出社するのだった。
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