埋もれ火

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理美は目を見開いた。まさか、今日ここで 会うなんて。 「変わらないな、理美。」 肩まで届くまっすぐな黒い髪。ストンと したオフボデイのワンピースの裾が風に 揺れる。昼間の雨に濡れたジャケットを 無造作に腰に巻いていた。それは手が 塞がるのを嫌う彼女の昔からのスタイルだ。 「ホンモノ…?」 二人の視線が絡み合う。 「真昼間に幽霊が出る訳ないだろ。見ろ、 ちゃんと足がついてるぞ。」 「ホントだ、生きてる。」 理美は笑った。
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