埋もれ火

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「生きてる証拠がもっと見たい。」 賢一は理美の腕を取り自分の左胸に 当てた。 「聞こえるか、心臓の音。」 理美は頷いた。規則正しい鼓動が伝わって 来る。 「心拍数七十五。少し早いかな。」 手を離して数えた心拍数を口にする。 理美はビーチから国道へ上がる階段に腰を 下ろした。空は黒い雲が切れ薄日が差して いた。賢一も近くに腰を下ろした。 賢一からの電話を受けて、もしかしたら 会うかもしれないと漠然と思いはした。
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