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親子二人で縁側に腰かけて庭に作ったニャーの墓の方に目をやる。
「母さん、もしかしたら私は父さんが亡くなった時と同じくらい辛いかもしれない。それに他の人が亡くなった時、同じくらい悲しくなれるか分からないくらいに辛い。」
目が熱いのと喉が締められる感覚。
あどけない瞳と甘える鳴き声が今でも脳裏に残ってる。
「いつも一緒だったのはニャーだったもんね。あなたを叱って泣いた時、言い過ぎたと思って様子を見に行ったら二人で縁側で寝てるし。
ニャーもあなたとの別れ寂しくて辛かっただろうね。」
「そうだと、少し嬉しいな」
「ニャーの親は育児放棄して見捨てたの。弱ってて、でも生きようと頑張ってたって。飼い主さんからできれば受け取ってほしいって言われててちょうどその時、猫がほしいって言いだすから父さんから許可をもらって、うち来たのよ」
「知らなかったんだけど。」
「言うタイミングが無かっただけ」
「それで、あなたがニャーにしつこくて、」
「可愛くてしかたがなかったの」
「でもそのおかげで、最初にあなたになついたわね」
「最初は嫌われてなかった?」
「まさか!ニャーの帰りが遅い日あなたが寝た後、お土産もって帰ってきたのよ。」
「お土産ってなにを持ってきたの?」
「朝、あなたが落とし物よ。」
「落とし物なんてしたかな」
「ニャーはマフラーをくわえて帰ってきたのよ。
縁側にマフラーを置いて、あなたの横よで寝てた。
それに、学校から帰ってくるまでほとんどずっと縁側か庭に居たんだから。」
「意外と好かれてて安心した」
「お父さんが嫉妬するくらい、好かれてたし、あなたもニャーの好きだったよね」
「うん」
ああ、膝があたたかくなっているようなそんな気がする。
決してニャーが膝にいるわけでなく、
日向の暖かさのはずなのに。
どうして、こんなにも安心するのかな。
私が泣いたとき、
あなたは一緒に鳴いてくれたね。
もう、一緒に鳴いてはくれないけど
見ていてください。
天国にいるあなたへ。
あなたは私の最高の味方でした。
あなたの誇れる主人でいれるように、
あなたのように苦難を耐えましょう。
私があなたを好いたように、
私の小説を誰かが好いてくれるまで。
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