味方はあたたかい

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ニャーだと思って走って玄関にいくと、仕事帰りの父がいた。 申し訳ないけど、帰りが嬉しくないと思ってしまったんだよね。 父さんは何も悪くないのにね。 そのまま、父に泣きついて 『ニャーはもう帰ってこないんだ』 って言葉につっかえながら叫んでた。 泣き疲れてそのまま朝を迎えた。 目を開いたら枕の真横に ニャーが寝ていた。 もふもふと温かそうな縞模様の尻尾を 左右に振って 穏やかな寝顔を張り付けていた。 私は嬉しくて、朝からまた泣いてしまった。 布団の上で自分の温もり以外の あたたかさがあることが、 嬉しくて仕方がなかった。 ニャーは少し目を開かせた顔を私に擦り付けてきて、私が撫でても何も反応はなかったのに、こんなに穏やかな顔は初めて見たと思った。 それからはあまり構いすぎないようにと学校から帰ってきたらニャーの隣で本を読む、くらいの距離感にしようと決めた。 閑話。 夏は暑くてくっついてられなくて、 二人して距離をとった。 「暑くて溶けそう」 「にゃー」 「そうめん茹でたわよ~」 冬は寒すぎて私がニャーを抱えてても 夕飯時に部屋に戻ったら、 そろってくしゃみして、風邪を引いた。 ニャーはあたたかいから、 良い湯たんぽだった。 「「はっくしゅんっ」」 「寒い死にそう」 「にゃー…」 「似た者同士ね」 「そうだな」 父と母が優しく笑うの、 今でも覚えてるよ。
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