1人が本棚に入れています
本棚に追加
ニャーは色々なことを教えてくれた。
味方が居る心強さとか、
落ち着く場所とか。
教えてくれたってより
ニャー自身がそれになってくれた。
親と喧嘩して泣いた時も、
友達に裏切られた時も、
受験が不安でしかたがない時も、
父が亡くなった時も側にいて、
顔を膝の上に置いてきてくれた。
それが私を肯定してくれている気がして安心できた。
毎日、安心して寝られるのはニャーが
不安を打ち消してくれるから。
私が大学生になってから半年、
ニャーは年を取って1日中、
寝ている事が多いように見える。
私が家に居ること自体少ないけれど、
母から話を聞いても最低限しか
動かないらしい。
これ以上は駄目なのだと直感が言う。
私はその時小説家になる夢を
今こそ叶えるのだと決意した。
私にその夢を抱かせてくれたニャーに
叶えられたよって言うのが、
恩返しになるような、気がする。
大学の講義の後ファミレスに寄って、
パソコンを開く。
夕飯時のファミレスは
昼時まではいかないまでも、
そこそこの賑やかさ。
カタカタと軽いタッチのキーボードを
叩いて描かれる文章は、
良いのか悪いかも分からない。
叶えられるのかな。
私には才能なんてあるとは思ってない。
けど、いつかは叶えられるかな。
ぐるぐると思考が回って纏まらない。
確実性の無い夢を追いかけて、
どこまで走っていけるのか?
大学生だって課題で暇ではないし、
バイトもし始めなければいけない。
卒業しても奨学金の返済や仕事で、
小説を書く時間すら読むことも
ままならない可能性はある。
大切な相棒も居ない状態で、
耐えられなくなりそう。
区切りの良い所まで書いて、
ドリンク代を払い店を出た。
外は冬に染まりつつある、
寒い風が頬を刺す。
手に血が通ってないように冷たい。
バックに入れたノートパソコンは
熱をもっているらしく、
布越しに温もりを感じる。
ニャーみたいに、あたたかい。
微かな温もりを頼りに、家路を急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!