ある猫が見た物語

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まどから明るい光がさしこんで、あたらしいにおいがする。 「シロ、おはよう。」 カラカラと透明な器に響く良い音が鳴る。 「ニャー」 スリスリ、スリスリ。 いつもはしないけど、ゴハンの時だけはこのヒトの足にスリスリすることにしてる。 早く早く、早く食べたい。 「ふふ、ごはんだよ。」 細く長い指から透明な器が離れ、日のあたる場所で、今日もカリカリと音を立てながらゴハンを食べる。 「今日もおいしそうな音してるね。」 「カリカリカリ……」 食べてるときに話しかけても無理。 だって今 食べてるから。 「カリカリカリ…」 「………今日も、いい天気だね…。」 寂しげに空を見上げるヒト。 そんなさみしい声出さないでよ。 あぁでも… でも今は… 「カリカリカリ…」
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