23人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「明日から宮崎に帰る。」
「休暇返上?」
「ああ。宮崎の後東京に寄るかもしれない
が、その後パリで残務整理と引継ぎだ。」
「じゃあ…。」
「やめるよ、仕事。今ならまだ間に合う。」
何に間に合うのか理美は不思議に思った
が、何故か尋ねるのが憚られた。
「それと、大学から剣道部の助監督として
正式な招聘を受けた。」
「引き受けるんだ。」
「身体が動くうちは竹刀を持てってこと
だろう。」
そうだった。この人は全日本(学生)で
ベスト4に入る選手だった。道場での息
詰まる稽古の様子を思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!