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「懐かしいな、あの道場。」
「変わってないぞ、何も。昔のままだ。」
毎日白い道着で稽古に励んでいた道場には
格別の思い入れがある。一年生の春、
理美が初めて賢一と会ったのも道場だった。
「引継ぎやら何やらで多分十日から二週間
ぐらいかかると思う。」
「了解。」
「その間、いや、その後もお前に預けて
おきたいものがある。」
そう言って賢一が差し出してテーブルに
置いたのはこの家の鍵だった。
「預かっててくれないか。」
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