このこねこのこ

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女の子がいる。 錦糸町駅から歩いて20分の寂れた商店街を抜けた先に、俺が住む木造のボロいアパートがある。 そのアパート二階の古臭いドアの前に、薄い紫のニット帽を被った短髪の女の子が突っ立っていた。 ニット帽の色がどこかで見覚えがある。 見た目は中学生になるかならないかで、真っ黒のダッフルコートに藤紫のスカート・黒タイツを着用していてもかなり寒そうだ。 可愛い。でも、怪しい。 俺の部屋の前というのもあったから、仕方なしに声をかける。 「ちょっと、君。どうしたの?」 「正信様(マサノブ)!会いたかった」 砂糖に蜂蜜をかけたような甘っとろい声で少女は叫ぶ。 答える間もなく、彼女は抱きついてきた。 うわっ!? あれ、でもなんか懐かしい匂いがする。 って、このガキはどうして俺の名前知ってんだ。 彼女はぐっと力を込め、離してくれそうにない。 「正信様の匂いー。安心する。ずっとこうやってぎゅーってしたかった。さあ一緒にエロエロしよっ」 「おい。警察呼ぶぞ」 こんなふざけた状況から、命のかかった危険な刀探しをする羽目になるとは……想像はできないな、その時の俺は。 絶対に。
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