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羽交い締めを止め、距離をとると少女はバッテンのポーズを取る。
「警察はダメ!正信様を待ってたの。家の鍵持ってるから」
「はあ!?それと俺となんの関係があんだよ」
「だって真央(マオ)の家でもあるんだし、あたし真央だし」
気味悪りぃ。
そもそも真央は俺の家で飼ってる猫の名前だ。一ヶ月帰ってなくてもうあきらめていた。
あれ?
どうして、飼い猫の名前知ってるんだ。アパートの大家さんにも話してないのに。
逡巡は考慮に入れてくれないのか、彼女はズバズバ詰め寄る。
「正信様に許可もらうまでずっとここにいたから寒いの。鍵かけてないのは知ってるけど、やっぱりOK貰った方がいいかなーって」
確かにそうだ。釈然としないが。
どうしようか、彼女は俺しか知らない秘密を知ってる。まずは事情を聞くか。
俺は観念し、ドアを開け中へと入れる。
黒のスニーカーを脱ぎ、脇にある桧柄の収納スペースに入れ、突き当たりの居間の炬燵へ滑り込む。
外で突っ立っていた俺は彼女に続くも、彼女は炬燵で丸まって顔だけ出しておねだりしていた。
「正信様、あたし温いミルクがいい」
とりあえず、コートと帽子は脱いで欲しい。
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