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そして、月日は流れ三人とも結婚をして孫を見せてくれた。
父親に孫の顔を見せられなかったことは皆、悔やんでいるようだ。
やはり、三人とも家族を連れてマメに顔を出してくれる。
賑やかになると嬉しいが、コロと私だけの時間も捨てがたい。
そういうとき、コロにだけ秘密話をするのだ。
「私は昭和の人間だから、嘘やまやかしでも教わったことは、疎かにできないよ。今の子たちがスマホを手放さないようにね……。だから、コロ、私の葬儀のときは外にいるんだよ。葬儀が終わったら私の方から天国から会いに来るから。だから、私より先に死ぬんじゃないよ」
コロは聞いてか聞かずか、あくびをして伸びをする。
私は、そんな変わらぬコロを見ながら、こたつでお茶をすすった。
了
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