加味

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 カンカンカンカン・・・  踏切の遮断機が下りてくる。それに構わず、僕は線路内を突き進む。  恐らく、過去も未来も現在という場所に一緒くたに存在するのだ。  ふとそんな奇抜な発想が頭を駆け巡る。  そう考えれば全てが納得がいった。  ここを取り巻く世界は過去も現在も未来も関係なく、全てが決まっていた。  僕が今日という日にあの大学の図書館の椅子に座って読書をする事も、今朝の〝従弟が自殺した〟という伯父からの電話が掛かってくる事も。  そして僕が死ぬ事も。  全ては決まっていたのだ。
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