文明

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────────── 鋭軌磐は、山の中を歩いていた。 まだ上がったばかりの横からさす日光が木々の隙間から縦線を数本描いて鋭軌磐のスーツ姿を照す。 この辺りはアイシャル人の区域であるため、スーツという文明人の服装はとても珍しい。 木々による光の遮断が少しずつ濃くなり、そのうちに太い木々の上や幹につくられた村が出てきた。 鋭軌磐はそこで立ち止まると、白馬に乗ったエルフ達が槍を持って現れた。 「我々の聖域に何の用だ」 0と1だけで構成された数列が刻まれた鎧を身につけるエルフが言った。 「ツェメンタールに用がある」 鋭軌磐はそのエルフを見もせずに答える。 「武器を預かる」 「太刀をか? ツェメンタールは銃があるだろ」 「あなたは弾を弾くと聞いている」 「力強くで奪うか?」 鋭軌磐は長い太刀の柄に手を添えた。 森の風が強まる。 「ツェメンタール様に何の用だ」 「アイシャル人が銃を持つことは禁止している」 「政府が言える問題ではない。我々はそんなもののルールなど聞かない」 鋭軌磐は、初めてそのエルフの目を見た。エルフは一瞬動揺したが、すぐに睨む。 「アイシャル風情が」 鋭軌磐はいつのまに太刀を抜いていた。すると、0と1の鎧のエルフが乗る馬の首が落ちた。 エルフは馬から崩れ落ち、他のエルフは鋭軌磐に槍を向けるが、鋭軌磐の太刀がまた別の方向を向くころには槍の先端はポロリと落ちた。 「ツェメンタールを呼べ」 鋭軌磐はエルフの首に太刀を突きつけた。 エルフはぴくりともしなかったが、 パアァン!! カツン!! 鋭軌磐の太刀に弾が当たった。
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