我慢

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「陽菜、スマホ鳴ってない?」 「え?」 カバンを覗くと、スマホがピカピカと光りながら震えていた。 「俊哉さんじゃないの? 出なよ」 出たいけれど、ここで? 今俊ちゃんと話したら泣いてしまう気がする。 こんなところで泣くなんて恥ずかしいし。 「うん。あとでかける」 「そ? じゃあ、早く食べて帰ろう?」 なぜか急に慌て始めた有希に、首を傾げる。 「陽菜の顔に“早く声が聴きたい”って書いてある」 「え、嘘っ!」 思わず顔を触るあたしに、有希はぷっと吹き出した。
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