第1章 魔界からのメール

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中学3年の池本隆(いけもとたかし)は、 都内公立校に通う15歳の少年だ。 来年は、高校受験を控えているために 猛勉強中。 自宅は新興住宅地にあり、一戸建ての 分譲住宅。 二階建てで、その二階に勉強部屋がある。 室内にはエアコンを効かせているのだが、 額から汗が吹き出し中々はかどらない。 辞書を見ているだけで、汗が滴り落ちる。 二階のためか容赦無く太陽が照りつけ、 室温がグングンと上がってしまう。 もうオーバーヒート気味だ、 仕方なく鉛筆を置く。 「こんなに暑くては、堪らない!」 もう、夏休みが終わろうとしていた 8月下旬、秋の気配はまだ伺えない。 10日連続の30度越えだ、自分のウンザリ 顔にも飽きが来ていた。 何気に傍に置いておいたスマホをみると、 いつの間にか二通の新着メールが 届いている。 開いてみると、姉の里見からだ。 「お姉ちゃん、3日後に帰ってくるんだ」 思わず、隆が溜息をつく。 姉が傍にいると、余計に蒸し暑くなって 息苦しい。 快適な生活が、台無しだ。 両親と姉は、叔父さんの葬儀で 青森まで帰省していたのである。 叔父さんは父親の弟で、死因に 不可解な点があった。
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