1人が本棚に入れています
本棚に追加
中学3年の池本隆(いけもとたかし)は、
都内公立校に通う15歳の少年だ。
来年は、高校受験を控えているために
猛勉強中。
自宅は新興住宅地にあり、一戸建ての
分譲住宅。
二階建てで、その二階に勉強部屋がある。
室内にはエアコンを効かせているのだが、
額から汗が吹き出し中々はかどらない。
辞書を見ているだけで、汗が滴り落ちる。
二階のためか容赦無く太陽が照りつけ、
室温がグングンと上がってしまう。
もうオーバーヒート気味だ、
仕方なく鉛筆を置く。
「こんなに暑くては、堪らない!」
もう、夏休みが終わろうとしていた
8月下旬、秋の気配はまだ伺えない。
10日連続の30度越えだ、自分のウンザリ
顔にも飽きが来ていた。
何気に傍に置いておいたスマホをみると、
いつの間にか二通の新着メールが
届いている。
開いてみると、姉の里見からだ。
「お姉ちゃん、3日後に帰ってくるんだ」
思わず、隆が溜息をつく。
姉が傍にいると、余計に蒸し暑くなって
息苦しい。
快適な生活が、台無しだ。
両親と姉は、叔父さんの葬儀で
青森まで帰省していたのである。
叔父さんは父親の弟で、死因に
不可解な点があった。
最初のコメントを投稿しよう!