第1章 魔界からのメール

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その叔父さんは、池本昌弘 (いけもとまさひろ)と言って、 大変なパソコンマニアだったらしい。 本業は農業をしていたのだが、 地元では珍しいYOUTUBERとしても 有名であった。 家にはデスクトップパソコンと ノートパソコンが2台、スマホを5台も 持っていたのである。 自宅にはWIFI環境があり、スマホや ノートパソコンのWEBカメラで、 自宅周辺の自然を撮影していた。 目の前には八甲田山が聳え立ち、 近くには日本三秘湯の谷地温泉がある。 文明から取り残された過疎地には 違い無いが、目の前に拡がる大自然に 昌弘はとりつかれていたのだった。 綺麗な空気、綺麗な水。 自然の美しさを、WEBカメラで 撮りつづけ、YOUTUBEにアップロード していたのである。 「ワシらには、この美しい自然を 守る義務がある」 昌弘の口癖だった。 そんな強い思いが通じたのか、 パソコンとインターネットとの出会いは、 必然的だったのかもしれない。 しかし、心の優しい昌弘が突然 死んでしまったのだ。 妻の話しによると、ある日 ノートパソコンに不思議なメールが 届いていたらしい。 (このメールを家族や身内に 配信して下さい。 メールには、呪いが架けられています。 削除すれば、貴方に死神が襲いかかる でしょう。期限は3日です) だが昌弘は、全く気に掛ける事無く 消去してしまったのだ。 更に叔母の話しでは、着信3日後に 突然書斎から叫び声が聞こえて、 部屋を覗くと昌弘が仰向けに倒れたまま 絶命していたという。 余程苦しかったのだろう、口から泡を吹き 大きく目を見開いたまま、 死亡していたのだ。
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