第1章 魔界からのメール

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その頃、青森に帰省していた里美親子は、 葬儀が終わり帰り支度を始めていた。 「これで、当分八甲田山も見納めか」 映画の舞台にもなった八甲田山を 眺めながら、達三は図らずも多少の 侘しさを 感じていた。 「家族全員谷地温泉にも入る事が出来た、 これも弟昌弘のお導きだ」 達三が意識して笑顔を作り、淋しさの 気分を紛らわせる。 里美には不思議な霊能力があり、心霊が 見えたり邪霊を退散させる程の 神霊パワーを持っている。 父達三も里美程では無いが、 霊を感じ取る能力もあってか、自身も 映像制作会社を経営している。 主に心霊スポットを周りながら、 カメラで撮影した物をDVDに焼き、 市場に販売する職業だ。 社長兼プロデューサーのためか、 日本全国の心霊スポットを廻っている。 達三自身DVDに出演する事が頻繁にあり、 いつしか世間では、里美達一家を 怪談家族と呼ぶ様になったのである。 「弟が先に逝ってしまうと、 寂しい気持ちで一杯です」 達三がしんみりと喋ると、 叔母美智子が重い口を開いた。 「お父さん、死ぬ3日前に変なメールが 来たと言ってたんです」 「変なメール?」 美智子の言葉に、彼が敏感に反応した。 「お父さん、知ってるの?」 里美が訊くと。 「あぁ、今巷で噂になっていて、 メールが届いた日から3日後に死んでしまう そうなんだ」 「昌弘叔父さんも、それで・・・」 今度は、母の美智子(みちこ)が 喋った。 「その呪いを、解く方法は?」 里美が尋ねると、達三が遠くを観ながら 何かを思い出した様に。 「一つだけあるらしい、それは 真夜中に神社の御神木に釘で藁人形を 打ち付ければ、解けるそうだ。 呪い返しという方法なんだが」 達三の言葉に、4人共黙り込んで しまった。 「どうして貴方がそんな事を、 知ってるの?」 美智子の問いに。
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