episode.5

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その後の記憶は途切れ途切れだった。 「響」 私の名前を呼ぶ声は心配を滲ませた声で、髪を撫でる手は優しくて温かい。 気がつけば私は自宅のベッドにいた。 浩太郎の顔が見えて、私はそれに安堵してまた瞼を閉じた。 翌朝、目を覚ますといくらか身体が楽になっていた。 高校の時のジャージを着ている姿に笑い、浩太郎が一晩中私の看病をしてくれた事を知った。 きっと寝ずに看病してくれていたんだろう。 浩太郎の寝顔を眺めているうちに私も隣で寝てしまい、次に起きたのは夕方。 シャワーを浴び終えて着替えた浩太郎がリビングに現れた。 「あのね…こうたろ」 「あの日は、ごめん。響にひどい事言って、本当に悪かったと思ってる。ごめんなさい」 あの日、置いて行った紙袋を勝手に開けた事を謝ろうと思った。 それを遮るように浩太郎が頭を下げて謝るから、一歩近付いて私も彼に向き合った。 「浩太郎…謝らなくていいよ、私も…叩いてごめん」 「…響」 顔を上げた浩太郎と視線が絡まる。 今日こそ、ちゃんと自分の気持ちを話そう。 浩太郎の事が好きだと伝えようと思った。
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