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「響ちゃん、久しぶりね。しばらく会わない間にこんなに綺麗になっちゃって」
「お久しぶりです」
浩太郎のお母さんが私の頭を撫でて柔らかく笑った。
その笑顔がどことなく浩太郎に似ている気がする。
「あとで浩ちゃんも来るからね」
「あ…はい…」
浩太郎が来ることに小さく溜め息が漏れた。
お父さんとお母さんが楽しそうに浩太郎のご両親と話している姿を眺めているとポケットの中で携帯が震えた。
“ 今日は出かけてる? ”
渡辺さんからのメールだ。
実家に来ている旨をメールで伝えると、帰りに連絡して欲しいと返信があった。
“ 解りました、帰りに電話しますね ”
誕生日の後から、渡辺さんと毎日メールを交わすようになった。
それは「おはよう」だったり「あけましておめでとう」だったり。
何気ない挨拶や一言程度だけれど、習慣のようになってきた。
浩太郎の事で気持ちが沈んでいた私はこうやって逃げ道を探して、また渡辺さんの優しさに甘えてしまっている。
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