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「そういえば、響ちゃん。こないだの熱、大丈夫だった?浩ちゃん、ちゃんと看病してくれた?」
「あ…はい、次の日の夜には下がりました。ゼリーありがとうございました、美味しかったです」
「すぐ治って良かったわね!浩ちゃんも風邪ひいてたみたい。まったく…浩ちゃんてば、きっと遊び歩いてたのね」
「…そうですか」
きっと、私の風邪がうつったんだ。
浩太郎はマスクもしていなかったし、それにあの日は一晩中ずっと私の隣にいてくれた。
「母さん?これ、お土産…」
後ろから浩太郎の声が聞こえて、私の肩がビクリと揺れた。
「あら、浩ちゃん!もう風邪治ったの?大丈夫だった?響ちゃんにも今話してた所なのよ!」
「あ、あぁ…」
小春ちゃんと話している浩太郎がリビングのソファーに腰を下ろしたのが解る。
私は後ろを振り返らずに黙って湯呑みに視線を落とした。
「ご無沙汰してます、おじさん、おばさん。あけましておめでとうございます」
うちの両親に挨拶にきた浩太郎をちらりと眺める。
少し疲れた顔で、心なしか痩せた気がする。
浩太郎は私の方を一度も見ずにソファーに戻って行った。
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