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「響、体調でも悪いの?」
「え?そんな事ないけど…」
「あら、そう。浩太郎くん達と話してきたら?」
「…あ、うん…」
私はよっぽど暗い顔をしていたんだろう。
お母さんが怪訝そうな顔で私を見るから、無理に笑顔を作って見せた。
ふと、昔を思い出す。
子供の頃、お正月は必ずどちらかの家で集まって宴会をして、私達子供は遅くまで遊んでいたな、と。
今となっては懐かしい。
私達もすっかり大人になってしまった。
もう少ししたら帰ろうと思った。
私がいるから浩太郎は機嫌が悪いんだと思ったからだ。
「…ここ、座ってもいい?」
「ん」
返事をくれた浩太郎とは目は合わなかった。
こんなに近くにいるのにものすごく距離を感じる。
小春ちゃんと浩太郎が話しているのをぼんやり聞きながら、時折窓の外を眺めた。
「先越されたねぇ、健太郎に。ねぇ、響ちゃんは?彼氏とかいるの?」
かなり不意を突かれた質問だった。
視線を窓から移すと、一瞬浩太郎と視線が絡まった。
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