episode.5

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「お母さんに聞いたんだけど…お見合い断ったんでしょ?」 「あ…うん…」 「なんで?ねぇ、なんで?教えて?」 お見合いを断ったのは、浩太郎の事をちゃんと忘れる自信がなかったからだ。 こんな気持ちのまま結婚なんて考えられなかった。 「…好きな人、いるから」 呟くように言った私の声は両親達の笑い声に掻き消された。 「え?なになに?お父さん達ってばうるさい!」 「小春、響が困ってるだろ。お前ズケズケ聞きすぎ」 浩太郎の低い声が響いた。 『響』浩太郎に名前を呼ばれただけで胸がチリチリと痛む。 「あぁ、響ちゃんごめんね」 「…ううん」 浩太郎は怒っているみたいだ。 機嫌が悪い時には昔から決まって腕を組むから、すぐに解った。
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