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黒い服を着た男が刃物で女性の胸を何度も貫いていた。
女性の血が飛び散って僕の顔に付いた。
恐怖のあまり動けない僕をあの男が見つけた。
「お前‥見たな」
男は低い声でそう言うと僕に襲いかかった。
そうだ‥
襲われた恐怖と倒れている女性のなま暖かく滑っとした血の感触。
男に倒された僕の目の前に先に刺された女性の顔。
あの刺された女性は‥
あれは‥あかねさんだ!
そしてあの時、僕とあかねさんは死んだ‥
だから僕達は気づいた時この小屋にいたんだ。
殺された無念が僕達をこの世に留めているに違いない。
そうだ‥死の間際僕が最後に見たのは僕を追って来た知抄の顔‥
そして知抄に気付いて物陰に隠れた男の後ろ姿‥
それから僕の直ぐ横で血塗れになり目を見開いていたあかねさんの顔‥
そうか‥今回は知抄が襲われたのは‥
あの男だ!
あの男はあの時知抄の顔を見たんだ。
でも自分の顔を知抄に見られたのかが分からなくて、殺さずに様子を見ていたんだろう。
だが何かで知抄が気付いたと思ったか、気付かれそうになって知抄を襲った‥
もしそうなら‥
犯人はこの神社の関係者の中にいる!
だが僕はあいつの顔を覚えてはいない。
薄暗い小屋の中だ‥
それにあの時、僕は明るい場所からあそこに向かった。
目もまだ暗さに慣れていなかった
それにあの男は顔を隠していた。そうだトレーナーのフードを深々とかぶり、顔は良く見えないようにしていたのだ。
ほかは?
思い出せ!
知抄が危ない。
彼女が無事に見付かったと知れたら、あいつはまた知抄を襲う・・
僕は直ぐに親方の元に急いだ。
「親方、あの女学生が見つかった事誰かに話しました?」
「おっ、健二か、お前何処にいたんだ。
宮司さんから追加の依頼が」
「そんな事は後でいいですから、彼女が見つかった事を誰かに話したか教えてください!」
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