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「えっ?でも宮司さんが、こんなにお礼を」
「親方!僕の話を聞いて!
彼女の事、宮司さん以外誰かに話しましたか?」
「なんだよ血相を変えて。
話も何も、救急車を呼べって言ったのお前だろうが。
まあ‥いい・・ほかにはって‥ああ、宮司さんの知り合いの国中さん‥だったかな?
あのイベントの主催をした学生の父親とかいう」
「其だけですね?」
「いや‥
あとは‥
巫女の林さんと、事務の金田さん、それと‥」
「いったい何人に話したんですか?」
「仕方ないだろ、話した時に皆が神社の詰所にいたんだ。
俺が言いふらした訳じゃないぞ」
僕は呆れて親方の顔を見る。
とにかく、彼女を守らなければ!
僕は急いで水車小屋に戻った。
だが、彼女はすでに病院へ搬送された後だった。
「どうした健二、親方がぼやいてたぞ、お前にえらい怒鳴られたって」
思い出したばかりの記憶を整理していると後ろから声がかけられた、寿朗さんだった。
「言ってみろ、俺で役にたつなら手助け位してやるぞ」
彼は昭和の時代に亡くなったらしい。
僕の勘だが、生前の彼はヤクザか的屋のような仕事をしていたと思う。
だから男気があって、仲間達を纏めたり、揉め事の仲裁なんかも上手かった。
僕は迷った末に今迄に分かった事を彼に話した。
「大変じゃないか!
皆を集めろ」
「待ってください、これにはあかねさんの死も絡んでいるかも知れないんです」
「何だって!
ああ、そう言えばお前達、この小屋で親方が見つけたんだだったな」
「そうです、でも彼女に会うまで僕は記憶がなかった、あかねさんは今も記憶がない。
其なのに、彼女が殺されたと皆が知ったら、あかねさんが…
彼女は自分の死の真相を知らないと思うんです。
僕が知抄に会うまで思い出せなかったように」
寿朗さんは腕組みをしながら少しの間考えていた。
「よし分かった。
なら取りあえずはお前と俺の二人で何とかしよう。
それでもダメなら皆の力を借りる。
それでいいな」
僕ははいと返事をして、親方にも言わないように彼と話し合った。
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