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僕達は、とりあえず二手に別れて行動する事にした。
寿朗さんは神社関係者を見張り、僕は知抄の病院を見張る事になった。
だが、お化け屋敷の仕事を休む訳にはいかないし、他の仲間だって知られずに行動しなければならない。
幸い今はまだお化け屋敷に入ろうと思う季節じゃない。
仕事も夕方5時には終る。
その日の夕方、僕は夕食を早めに終わらせ散歩をすると食堂をでた。
その足で知抄の入院する、この街で一番大きな市民病院へ向かった。
(先ずは知抄の病室を探そう
あの状態で救急搬送されたなら、今はまだl C U のはずだ)
僕はエレベーター横の案内板を見る。
一階は一般の診療施設と、薬局、受け付けと会計カウンター。
二階は内科の入院病棟。
三階が小児科。
四階が外科。
五階は心療内科か…
有った!六階l C U 病棟!
エレベーターのに乗れば早いのだが、階数を決定するボタンが押せない。
誰かの後について乗れたとしても、その人が六階で降りてくれなければ僕はエレベーターの中に取り残されてしまう。
迷いながらエレベーターに乗る人を見つめた。
(あれ?あの人⁈
そうだ、知抄のお母さんだ)
彼女なら必ず知抄の病室に行く筈だ。
僕はそっと知抄の母の後ろに乗り込んだ。
案の定、彼女は六階でエレベーターを降りた。
廊下の角を曲がって病室に入る。
僕はそのドアが開いている間に素早く部屋に入った。
知抄は沢山の機械に繋がれていた。
(仕方ない、あの様子なら低体温症には違いない。
それに脱水症状も見て取れた。
「知抄…良かった。
周りの人は、諦めろって言ったけど、お父さんとお母さんは貴女を信じてた。
私たちを置いて先には逝かないって…ありがとう知抄…
戻って来てくれて」
知抄の母はベットに眠る知抄の手を両手で包む。
(私・・死んだの?)
僕の直ぐ横で知抄の声がした。
見るとそこには霊体となった千紗がいた。
(違うよ、君は眠ってるだけだ)
(でも、起きないのよね?)
(そんな事ない、体が冷えて機能が正常に働かないだけさ。
でも一度に暖めると、君の心臓が驚いて停まってしまう。
だから、暖めた点滴で少しずつ体を元に戻してる)
知抄は僕を見る。
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