探偵はお化け屋敷にもいる

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あっ忘れてました。 僕は九頭龍健二、生きている時は高校生でした。 その頃はまだ普通の人間が幽霊役を勤めていまして、僕は夏休みのバイトで裏方としてこの一座に入りました。 普通のバイトより時間が自由でしたしバイト代も高い。 1ヶ月のバイトが終わればそのお金で・・ あれ? そのお金で・・僕は何をする心算だったんだろう? 思い出せない・・ そうなんです・・ 死んだのにあの世にも行けず現世に留まっていると、僕のように少しずつ自分の事を忘れて行くんです。 そして総てを忘れると消えてしまう・・ だから僕達は仲間で暮らしている。 自分の事は忘れても仲間の事は覚えている。 名前だって毎日呼ばれたら忘れない。 でも誰にも話さなかった思い出や出来事は少しずつ記憶から消え、今いる此処だけが自分の居場所になっていく・・ でもそんな暮らしに疲れたら・・ 「健二、飯だっつうの! 食わねえなら本当に片付けるぞ!」 すいません。 食事してきます・・ あの・・ 良かったら待っててくれませんか? 貴方に僕の話を聞いて貰いたくて・・ 仲間にも話せない僕の話しを・・ 「健二、この間の宮司さんに頼まれた件どうなった?」 食事が終る頃親方がそう僕に尋ねる。 「ああ、あれならもうめぼしも付けてあります。 食事が済んだら宮司さんにそう言って此処に来て貰って下さい」 「そうか、それは良かった。 昨日祭りの地割りに詰め所に行った時宮司さんに催促されてたから助かるよ」 「詳しい事はパソコンに入れてあります。 プリントして宮司さんに渡して下さい。 それと・・ まあ良いです。 次はあんな面倒な依頼は受けないで下さいよ」 「分かったよ。 でも頼まれるとなぁ・・」 「親方は頼まれるだけだからいいでけど調べたり解決する僕の身にもなった下さいよ。 正直大変なんですから」
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