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その依頼はこの神社で先月に起こった行方不明者の捜索とその原因調査の依頼だった。
その事件は一見不思議な事のように見えるものだった。
先月末、この神社では近くの大学生達によるプロジェクトマッピングの展示 会が催されていた。
金魚を入れた大型の水槽にC G を合成して写し出すと言う今流行の物を少し規模を小さめにしたもの・・と言えば、「ああ、あれか」と思う人も多いはずだ。
その会場から女子学生が一人姿を消した。
それも仲間達の目の前でだ。
当然会場は大騒ぎになりイベントは中止になった。
其から半月が経ったがまだその生徒は見つかってはいない。
偶々そのイベントを企画した生徒の親が宮司の知り合いという事でこの話が親方の元に持ち込まれた。
ああどうして親方に?と思うでしょ。
それは前にも可笑しな出来事が起こって、その時に僕がそれを解決したから・・
でも解決したのが幽霊何て誰も信じない・・
だから皆が親方が解決した事にしようと言ってその場は其で済ましたんですが・・
でもまさかその後、こんなに色々な面倒な事ばかり親方が頼まれて来る何て!
しかもその度に駆り出されるのはいつも僕達なんですから。
ちなみにこの事件はこの神社の成り立ちにヒントが有ったんです。
昔、日本では神仏を一緒にお祀りする所が多く有ったそうなんです。
でも国は其を良しとせず分ける事を命じたらしい。
その時多くの神社では寺の部分を切り離し神社だけを祭るようになりました。
でも中にはお上に隠れ寺の部分を残した所もあったそうで、まあ(修業の場)として形を変えたり、宝物庫として残したりしたのだと思うのですが・・
そしてこの神社もまさしくその名残を持った神社でした。
僕がそれに気付いたのは小屋の窓から外をを見ていた時でした。
不通なら僕達幽霊は神社敷地の中を歩けない。
うっかり鳥居なんか潜ろうものなら結界に触れ不浄のものとして消されてしまう。
なのに神社の敷地に浮遊霊が立って居たんです。
それは誰にも気付かれる事無く今にも消えかけてはいたけれど、僕に気付くとふわりと近づいて来ました。
でももう言葉も忘れたようで直に微笑みながら消えて行きました。
その時はああ僕もいずれはこんなふうに消えるんだ・・と思いましたが、直ぐに違和感が僕を襲いました。
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