平安異譚  激闘 扇川原の巻 序章

3/8
前へ
/8ページ
次へ
雷禅 邸にて 宵になるのを 待ちながら 美鈴御前に 語り始めました。 「美鈴よ、三位殿が、願の森に隠るる前、わしは三位殿に呼び出され。今生の別れの盃を酌み交わしたのじゃが」と 美鈴御前。弓月丸、力童丸も 話を聞き入っています。 「三位殿自身、当に寿命尽きているも、このままと言うのは、やはり摂理に合わぬとの」 「父上が、そのような事を」 「うむ。わしには三位殿の決意変えることできなんだ。許せよ」 「いえ、私も若返った父上に何やら危うい感じ覚えておりましたゆえ」 「その後、従者呼び出し、願の森へ出立したのじゃが」 「なんにせよ、父上がまだ、かの地におられることは、先の正親門の時や、今回の件でやはり、そう思われるの。。。」 弓月丸も「現に私も三位殿が若返ったのを目の当たりにしていなければ、信じられませぬが」と。 力童丸「ともかくさあ、今夜願の森へ行けば、また会えるでしょ。いろいろ考えてもしょうがないよ」と 明るく言うと 一同 納得 森へ行く仕度を 始めます。 さて 日が落ちて 宵闇が 京の都を覆いだした頃 宮中 内裏の門を 守る 衛士たちの足元に。 何やら 黒いぬめぬめとした 流動体が 地を流れてきて。 一人 二人 衛士 あっという間に その流動体に 取り込まれて 溶かされてしまいました。 なんと 黒い流動体は 禁裏の門を 通り抜け 内裏へと 進んでいくでは ありませんか? これは 一体? 宮中で 何が起きているのか?
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加