平安異譚  激闘 扇川原の巻 序章

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三位が 告げたように 都では 怪事件が起きていました。 雷禅たち 自身の邸に 一度 身を寄せ 美鈴御前と 力童丸を残し 検非偉使の長宅へ 向かおうした その時 雷禅邸前で 長と 出くわし 「源の、こちらは無事じゃったか。これより、宮中へ向かうぞ」 「我ら、昨晩、願の森におった故、何が起きたので?」 と 雷禅問わば 検非偉使の長が 語るには 同じ時刻に 検非偉使の長宅 陰陽寮の頭宅 そして 宮中内裏にて 真っ黒なもののけが 襲来し 門番や 衛士たちを 葬りさり 危うく 皆 殺られるところだったのじゃ と。 「なんと、帝。陰陽寮の頭は? 」 検非偉使宅では 三種の神器を模倣してつくられた神剣が 魔を追い払い また 陰陽寮の頭宅でも 勾玉が 光り 難を逃れ 帝の御前では 神鏡が 光を照らして 魔を退けた とのこと。 まさに 三種の神器が 力を発動しなければ 退けられなかった状況に 内裏は 蜂の巣をつついたような騒ぎとなり さすれば 帝 直々 我らを呼び寄せ 対策を!となったと告げ。 雷禅も 願の森にて 聞いてきた話を 長に そして 帝に 話を通してもらい 扇川原 オウギテイ討伐の勅命を 受けました。 陰陽寮の頭 検非偉使の長ともに 内裏の 警護にあてて 雷禅には 百名近い 武士を采配するようにとの 仰せには 雷禅「やつらは、人ではありませぬ。我らには、三位より授かった神器と援軍がおるゆえ」と 辞退して いよいよ 翌朝 正親門の先 扇川原へと 討伐に 向かうことになりました。
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