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わたしも、晃太郎の好きな景色の一部になりたい。
ふと、そんな考えが浮かんだ。
頭を上げ、立ち上がる。
そして再び見上げた桜の木。
わたしはそこに、手を掛けた。
指先に力を入れて、少しずつ登って行く。
これでも昔は得意だった木登り。
晃太郎とも、よくこうして遊んだ。
記憶の欠片が、ぼんやりと現れては消え、また現れては消える。
それは晃太郎の顔だったり、声だったり、感触だったり。
鮮明ではないけれど、どれもわたしの大切なもの。
何度かそれを繰り返し、ようやくわたしは一番低い枝にたどり着き、
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