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「すまない。これはお父さんの、ただの想像でしかないよ。第一、盗られたものがあるわけじゃないんだから。」
そうだ、ただ、植木の根元が掘り返されていたからって何か盗られた証拠にはならない。
これはあくまで想像に過ぎないんだ。隠し財産なんて…
「それにさ、もしかしたら、たまえさんも何か理由があって急に出ていかなければならなかったのかもしれだろう?そのうち連絡があるかもな。もう、こんな時間か。さ、片付けて帰ろう。」
まるで何かの冗談だったかのように、やけに明るい口調がいっそう空々しい。
帰る道すがら、三人ともやたら饒舌になった。
くだらない話で馬鹿笑い。
それぞれに同じ思いを胸に抱えていたから…
打ち消したい小さな疑惑は大きな確信だった。
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