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たまえさんというのは、おばあちゃんが飼っていた猫たちの名前だ。
たち、と複数系なのは一匹だけの名前ではなく、歴代の猫たちに引き継がれてきたから。
最初に飼ったのは、息子、つまり私のお父さんが結婚して家を出る時。
夫婦二人きりじゃ、犬か猫でもいないと会話が続かなくってね、と偶然迷いこんできた三毛の子猫が初代のたまえさんだと聞いている。
この猫は私が小学生の頃にはすっかりおばあちゃんで、いつも寝てばかりだった記憶しかない。
だから「ねこ」って言うのよ
おばあちゃんの言葉に幼い脳ミソは納得したものだった。
二代目のたまえさんは甘えん坊でヤキモチ焼き。
おばあちゃんのことが大好きで、いつでもどこにでもついていく。
私がおばあちゃんとおしゃべりしていようものなら間に割り込んでくる。
そのくせ、おばあちゃんがいない時には、撫でろと言わんばかりに近寄ってくるのだ。
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