エピローグ

2/2
1890人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
「ミスター・ランバートン。あんまり彼を苛めないでください。」 運転席の堀田が呆れたような声で、俺に注意した。 本当は、真面目にホテルまで連れ込もうかと思ったけれど、それは堀田が許すわけもなく、最初から彼を送るつもりではいた。 車に乗せて、隣でじっくり見ていた。 白い肌に、長い睫毛、そして柔らかそうな赤い唇。 酒井は、男性のはずなのに、あの色気はなんなんだろう。 「んー、これも愛情表現だから。」 「愛情って・・・完全に彼、怖がってたじゃないですか。」 運転をしながら、バックミラー越しに睨んでくる。 「・・・いや、そうでもないと思うけどな。」 少なくとも、俺のキスには応えていた。 車窓から流れていく光を眺めながら、酒井のことを思う。 「本気なんですか。」 「・・・どうだろうね。」 堀田には、そう答えたけれど。 彼を手に入れたいと、思ったのは事実。 ガラスに映る自分の顔を見ながら、キスをした後の、彼の蕩けるような表情を思い出した。 さぁ、これから、どうやって、彼を堕とそうか。 思わず、笑みがこぼれた。 -Fin-
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!