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「ミスター・ランバートン。あんまり彼を苛めないでください。」
運転席の堀田が呆れたような声で、俺に注意した。
本当は、真面目にホテルまで連れ込もうかと思ったけれど、それは堀田が許すわけもなく、最初から彼を送るつもりではいた。
車に乗せて、隣でじっくり見ていた。
白い肌に、長い睫毛、そして柔らかそうな赤い唇。
酒井は、男性のはずなのに、あの色気はなんなんだろう。
「んー、これも愛情表現だから。」
「愛情って・・・完全に彼、怖がってたじゃないですか。」
運転をしながら、バックミラー越しに睨んでくる。
「・・・いや、そうでもないと思うけどな。」
少なくとも、俺のキスには応えていた。
車窓から流れていく光を眺めながら、酒井のことを思う。
「本気なんですか。」
「・・・どうだろうね。」
堀田には、そう答えたけれど。
彼を手に入れたいと、思ったのは事実。
ガラスに映る自分の顔を見ながら、キスをした後の、彼の蕩けるような表情を思い出した。
さぁ、これから、どうやって、彼を堕とそうか。
思わず、笑みがこぼれた。
-Fin-
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