立ち向かえ!ポーレンバスターズ

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暦は3月。 未だに寒くなったり、暖かくなったりを繰り返すこの時期が、ついに来てしまった。 “来てしまった”と言いたくなるのには理由がある。 そう、それは…… 「っくしゅん!!」 「……なんか例年よりも辛そうだな、アリベル」 「ただの風邪だよ、風邪」 「それ毎年言ってるけど年々酷くなってないか?」 僕は毎年この時期になると風邪をひく。 ……そう、風邪だ。 あくまで風邪。 ただの風邪。 暖かくなってくると、ちょっと鼻風邪をひく。 毎年そう言い聞かせているけど、今年はかなりマズイ。 ……なんか目、痒くなってきてるし。 ずっとティッシュとお友達だし。 今年の風邪は過去一の症状だ。 「グーぢゃん、新しいディッシュ取ってぎで」 「……アリベル、絶対に風邪じゃないだろ」 「風邪だっでば」 「いい加減に花粉症だって認めた方がいいぞ」 「がぶん症じゃないから!」 「がぶん症」 僕の言葉を繰り返して新しいティッシュを持って来るペットのクーちゃん。 ……なんか楽しそうだ。 ムカつく。 ここ連日、僕に抱かれまくった腹いせに、僕のことを虐めるつもりらしい。 なんだかニヤニヤしながら新しいティッシュを差し出してきたクーちゃんに警戒しつつ、ティッシュに手を伸ばしてみると。 案の定、突然引っ込められたティッシュに、僕の手は虚しく空振りした。 ……やると思った。 さすが精神年齢がお子様のクーちゃんだ。 「アリベル、ティッシュ欲しいか?」 「はやぐ寄越してよ。遊んでる場合じゃないんだがら」 「ふーーん。それが人に物を強請る態度なのか?」 ……うっっわ。 ムカつく。 勝ち誇った微笑みで煽りまくる世界のシン様。 日頃の腹いせのつもりなんだろう。 ドMのくせに、ドSのまねごとをして楽しそうだ。 ……僕は全然楽しくないけど。 なんで僕が虐められる側なのさ。 「まぁオレは優しいからな。ティッシュくらいすぐに渡してやらんでもないけど……礼儀ってものが世の中には存在すると思うんだよなー」 ティッシュの箱をヒラヒラとさせながら、底意地の悪い微笑みを湛えるシン様。 めっっちゃ楽しそうでめっっちゃ腹が立つ。 僕が大切に使っている最後の一枚のティッシュに顔を埋めつつ睨みつけると、口達者なシン様はさらに口撃を加えてきた。 「なんで睨むんだ?むしろアリベルはオレに感謝すべき立場だろ?新しいティッシュの箱をわざわざここまで運んできたんだぞ?それに感謝の気持ちを口に出すことで、“ オキシトシン”の分泌が活発になるんだぞ。 オキシトシンは副交感神経の働きを促したり、自律神経のバランスを整える作用がーーどぅわ!?」
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