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年賀状文化が廃れつつある今、私の父は何ヶ月も前からデザインを考え、下書きをし、親戚や上司、部下などに百通以上出すほど我が家ではまだ根深い行事である。
そんな父の『一年に一度ぐらい出せ』という教えを私や母も従いせっせと年賀状を今年も書いた。
年が明け、新年、一月一日。
実家に帰った私の昔からの役目である、郵便ポストの確認。
今年もたくさんの年賀状が届いていた。
宛名を見て、父、母、時々私に、それぞれ年賀状が振り分けられる。
すると、振り分けていた母が、あら、これ見て!と、私に年賀状を手渡してきた。
姉からの年賀状だった。
年賀状一面に写真がプリントされていて、そこに映っていた姉と旦那さん。いい笑顔だった。
姉の手の中には、まだ数ヶ月の赤ちゃん。
ついこの前、この世に誕生した姉の子供だ。
この子はこれからどういう人生を送っていくのかな。あの姉に育てられるんだから、いい子に育つことは間違いないだろうな。美人に育つだろうな。中学校では部活何するかな。
自分の子供のように色々その子の人生について考えた。自分の子じゃないから気楽に考えられるのかもしれない。いいことばかり、考え付くのかもしれない。
だって、嫌なことだって人生生きてりゃ色々ある。
人間関係でつまずくことだってあるかもしれないし、そもそも友達ができるかもわからないし、いじめだってあるかもしれない。何が起こるかなんてわからないんだから。
でも、希望を照らしてあげることが一番大事だと、思う。
そう思うようになれたのは、結婚式で姉がスピーチで泣きながら言った一言が私の心を揺るがしたからだ。
「これからどんなことがあっても、あの笑顔の毎日は忘れません」
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