あの笑顔はもう、私のものじゃない

未来

笑顔があったからここまできた。
嫌なことがあっても、笑顔があれば、生きていけるんだ。
私たち姉妹は、そうして生きてきた。

あの姉が泣きながら語ったあの言葉が忘れられない。あの時ちらりと、私の方を見た気がした。勘違いじゃないと思いたい。

全てが吹き飛んでいったあのスピーチを聞いて初めて、心の底から姉の結婚を祝福できた。
大丈夫。姉の心にはいつも、私たち家族がいる。

眠っている製作途中のウエディングドレスは、私の心のようだ。
でも、今日からまた、ここに息をふっと吹き込むことにする。

――このデザイン、提案してみようかな。

また、目標が出来た。笑顔で頑張れば、今度は完成できるかな。そうだ。それ以上にこれからの未来、ずっと達成したい目標があったんだ。

それは、毎日笑顔でいること。
そうすれば、私の薄暗い人生も、少しでも光が差し、生きる希望になるかもしれない。