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ことの始まりは私の一言からだった。 大好きな姉の結婚報告を2人で行った居酒屋の個室で初めて聞かされた時は、本当に涙が出るほど嬉しかった。 いや、実際には出ていないのだけど、出るかもしれないほど嬉しかったんだ。 幼い頃から姉を見て育ち、姉の真似をし、私の人生において半分は二番煎じによって形成されたほど私の手本のような存在だった。 姉がいなければ私の人生は、残り半分の内容を大いに広げ、薄っぺらくしなければ埋まらないほどの穴だらけの人生だったことだろう。 だからこそ、だ。 そんな姉が歩いた道のすぐ後ろを歩く私だから、感謝の気持ちを込めてのことだった。 「ウエディングドレス、作らせてよ」 きょとんとした姉の顔は今でも忘れられない。 これでも控えめに言ったんだ。だって、いくら私でもウエディングドレスを着ることが姉にとってどれだけ幸福なことか、分かっている。そりゃあ、豪華なウエディングドレスが着たいだろう。 でも姉は一切不快な気持ちを表には出さなかった。 「本当!?ぜひお願いしたいんだけど!」 笑顔だ。私の求めていた笑顔だ。 ああ、嬉しい。二番煎じ体質の私が姉のウエディングドレスを作れるなんて。 これは心の底から喜んでいいことなんだ。本当に嫌なら断っているだろうし、なんなら姉は自分で作ってもいいはずなんだから、血のつながった姉妹なんだし断われたはずだ。 姉が私を求めてくれている。 姉に依存していた私が、人生で始めて恩返しができるかもしれない。 ――ああ、あの時は本当に嬉しかったなあ。 恨むべきは、この出来事で調子に乗ってしまった自分なのかもしれない。
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