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2、3日で退院した私は、すぐ家に帰って製作途中のウエディングドレスに手をつけた。 でも、左手だけじゃどうにもならなかった。利き腕でもない左手だけではどうにもならない。 この時ほど、猫の手も借りたいどころか、足を器用に動かす練習をしておけばよかったと思った。 この時から姉の私への態度が変わった。 正確には、入院したその日から変わっていたのかもしれないけど、姉は故意に私への接触を避けるようになった。 大好きな姉のことだから分かる。私のことを思ってなのか、自分のことを思ってなのか、後者であることは間違いない。だって、明らかに姉は私の前で結婚式のことやウエディングドレスの製作過程について聞いてこなくなった。 申し訳ない。 しかし、自分の不甲斐なさを感じると同時に、姉への不信感が少し募った。 方法はたくさんある。姉も一緒に手伝うとか、私がデザインした物を発注して作ってもらうとか、考えれば色々あったはずなのに、何故一言も私に言ってこないのか。 手首の骨折だって足首の捻挫だって、事故のこと自体ウエディングドレスの製作に比べれば大したことないのに、姉は勘違いをしている。自分の心配なんて微塵もしていない。 例え手首に後遺症が残っても、足首が全治するのに1年以上かかっても、人生において一番費やさなくてはいけない製作がこれなんだ。 なのに、姉はそれがわかっていない。姉なのに。 私は見たんだ。 退院する日、迎えにきた母と、仕事帰りの姉と一緒に帰宅する際、姉の鞄にあるウエディングドレスの専門誌が。 そっちの方がいいんだね。プロが作ったしっかりとしたドレスを選ぶんだね。 まだ3分の1の製作もできていないウエディングドレスを握り締め、私が作ったウエディングドレスを着て笑顔でみんなに祝福される姉の姿を想像して、ひたすら泣いた。
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