迷い猫が最後に伝えたかったこと

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「え……?」 「プランター持っているから」 と彼は私のプランターを指差した 「えっと…そうなんです、そのつもりで ついさっき、買ってきて」 と、苦し紛れの嘘をつくと 彼はこっちの様子に気がつかないで こう言った 「そうなんですね 花っていいですよね。俺、好きなんですよ」 「そうなんですか?」 「部屋にもありますよ ちょっと恥ずかしいですけど 好きな人が花が好きで、 そこから俺も好きになって ずっと育ててるんです」 と笑っていた 「これ、くろのさんって読むの?」 私のポストにかかれた 名札を彼はゆびさした 私は、個人を特定されるのが怖くて ポストには、名字だけ書いてある 「はい」 「黒野さんのお花、 綺麗に咲くといいね」 そう言って、にっこり笑うと 彼はそのまま行ってしまった
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