迷い猫が最後に伝えたかったこと

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私は本棚の前に行き 床にアルバムを置いて ページをめくる 「あ、これかな…? 帽子被ってるやつ?」 幾つか写真の載ったページに二人で ピースした写真があった 「それそれ!」 「にゃー!!」 「へぇ、こんなのあった…?」 「覚えてないもんだよね。 クラスの子見ても、名前とか 顔とか分かんないしね」 「私も。名前は夏希以外 まったく分かんないし 顔も……ちょっとしか覚えてないな」 「にゃー!にゃー!」 「ちょっと、ミルク! みえないよ……アルバムの上 跳ねないでよ」 「ミルク…?」 夏希が不思議そうに聞いてきた。 「あ、ちょっと、猫が…いて」 「声、聞こえないけど……そうなんだ。 雛って猫、飼ってたっけ?」 「あー…いやその…」 「にゃー!にゃー!」 ミルクはさっきより声をあげて アルバムの上でぴょんぴょん飛んでいる。 「……夏希、ごめん。またかける」 「え…?なんかよくわかんないけど 分かったよーまたね」 「ごめんねーバイバイ」 電話を切る 「にゃー!にゃー!」 「こら!」 声を大にしてぴょんぴょん飛ぶ ミルクに怒ると ミルクは飛ぶのをやめてしゅんとして にゃーと弱々しく鳴いて、 アルバムに座り込んだ
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