第二章 ある歴史的資料の記述(前)

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 リュウとその支持者らで結党された政治政党リュウネクストは初めて出馬した選挙で自らを含む11名の候補者全員が当選するという快挙を成し遂げた。  自由と平和を掲げた当時でも珍しくはない政党であったが異例の早さで国民から支持を集めて規模を拡大していった。  他の政党からの評価も極めて高かった。あらゆる党から連立を呼びかけられたり、他党の議員たちが我先と争うように離党してリュウネクストへ所属することを熱望した。まるで理念の異なる政党からもこのような者が続出したため、かなり早い段階でリュウネクストは実質的な与党となり野党が機能しない一党独裁体制を築いていった。  国外の民衆からも人気が高くなりリュウネクストは海外にも支部を発足、その結果、瞬く間に世界中の国で政権を担うようになっていった。  国家間での争いごとは自然となくなり世界は平和になった。人々の間で広く信頼関係が生まれ、過度な信用を創造することで誤摩化し続けていた経済はその規模を縮小しても皆が裕福に暮らせるようになっていった。  やがてたくさんあった国々は一つに統合されていった。その上でその土地に根付いていた文化や宗教の保護等の理由から世界を10のエリアに分割しそれぞれをリュウネクストの大幹部が統治していた。  犯罪が激減し人々の生活には安心とゆとりが生まれていた。人々は年齢に関係なく好きなときに好きなことを学ぶ機会が与えられて希望する仕事の訓練を受けその職業に就くことができた。しかし何もかもが順調に推移していたわけではなくリュウネクストはある問題について思い切った政策を取っていた。
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