第二章 ある歴史的資料の記述(前)

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 人々のほとんどが知的で理性を重んじ平和と自由を愛する中で、どうしてもそれを受けいることができず、以前の利己的な生き方しかできない者が一部にいた。それは時代が変わっても幾つかの世代交代を経てもどうしてもそのような者があらわれては皆の生活を脅かすことがあった。  そのためリュウネクストはこのような考え方の傾向のある者を「気づかぬ者」と呼び、そうした者たちだけを集めた居住エリアを設置し他のエリアへは行けないことにした。  リュウネクストは時折「気づかぬ者」を炙り出すための調査を行い、更に研究を重ね、その摘発する精度は極めて高くなっていた。ただし、人種差別とはならないように「気づかぬ者」は手厚い待遇と十分な環境下のもとで教育を受けて復帰する機会を与えられていた。  犯罪はその「気づかぬ者」のエリア内でしか起きなくなっていった。そうせざるを得ない場合は昔のような刑務所に入ることもあった。
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